外部からこのページに来ている人も多くなって来たので、
「いちまいばなし」について改めて解説しておくための記事です。
<「いちまいばなし」とは?>
「いちまいばなし」とは、1枚の紙に絵を描きながら、
その場にいる全員で即興で物語を作る遊びです。
様々な人の想像をリレーしながらイメージが広がってゆくので、
誰も予想できないような展開の物語ができてゆきます。
<「いちまいばなし」の作り方>
「いちまいばなし」は1枚の紙、とペン、
1人の司会役と、最低3人の参加者がいれば作る事ができます。
司会役が物語の場面を紙に描き足して行きながら、
順番に参加者へ次の展開を聞いてゆきます。
このような紙芝居屋さんのようなスタイルで行います。物語の始まりと終わりは、拍子木を鳴らします。 |
1回の物語を作る時間は20〜30分。
上の写真の様に、20人くらいまで参加する事ができます。
参加対象年齢は、言葉、物語が理解できる年齢から(5歳前後〜)
もちろん大人も参加できます。
電子デバイスでも遊べます。 想像をリレーして物語を作ってゆくので、写真の様に絵はそこまで巧くなくても大丈夫。 |
まず、物語の最初に出てくるものを参加者から募集します。
生き物、建物、風景、色、形、匂い、どんなものからでも物語が始まります。
絵に描ける物でなくてもOK。(たまに「無」から始まる物語さえあります。)
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室内、野外を問わず、いろいろな状況で物語は生まれます。 |
などを参加者に聞いてゆきます。
「それはどう思った?」「それはなんて言った?」なんて質問や、
時には展開に困ってしまった司会役が、「ここからどうしよう?」と、
参加者に質問を丸投げする事もあります。
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たまに大人だけで作るときもあります。 恋愛系の物語なんかを作ると深みが出てきます。 |
参加者を何周かしてオチ担当が物語にオチをつけたらそこで終わりです。
ハッピーエンド、物悲しいエンド、考えさせられるエンド、まだ続くエンド、
これで終わりなの?エンド、など千差万別なオチがついたら、
参加者みんなで物語のタイトルを決め、フィナーレです。
↑実演音源、映像など
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ものすごく大きい紙に1日がかりで長い長い物語を作る事もあります。 その場合は「いちまいばなし」ではなく「いちにちばなし」と言います。 |
<できた物語のその後>
「いちまいばなし」はその場で物語を作る活動ですが、
そこでできた物語はその場だけで終わってしまう物ではありません。
様々な派生活動によって、たくさんの人へ広がってゆきます。
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「いちまいばなし」全集1 |
作った物語は全て文字おこしされ、本に編集されます。
そして、いろんな人に読まれてゆきます。
「いちまいえほん」全10種 |
次に絵本化。
「いちまいえほん」というこの絵本は、
表に物語を1枚で表した絵、裏に物語が書かれた、両面で1枚の絵本です。
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「えほんのはた」ワークショップ風景。親子で参加するとより楽しい。 終盤は親御さんの方が頑張って完成させているという光景もよくあります。 |
また、作った物語を参加者で一枚の布で再構成する「えほんのはた」という
ワークショップもあります。
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「えほんのはた」完成。 「いちまいばなし」のイベントの時に飾られます。 |
物語に出てくる物の色や形は表情は?
同じ物語を作っていたはずなのに、
参加者それぞれが頭にあるイメージは全然違っていたりするので、
そのズレを表に出して楽しみながら、また1つの画面に再構成してゆきます。
物語の登場人物をカラー粘土で作る「ねんどばなし」という
ワークショップもあります。
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みんなの「ねんどばなし」をつなげると「いちまいばなし」ジオラマに。。 |
<最後に「いちまいばなし」をより楽しむポイント>
「いちまいばなし」は、面白い話を作るための1つの方法ですが、
大切なポイントは、
他人の考えている事が、
実は自分が考えている以上に全然違っていて、
その違っていたり、ズレているものを、
どうやってそのまま楽しめるのかと言う事です。
想像巧みに自分の考えにつなげるのも一つの手ですが、
どうやってもつながらない、つなげられない物だってでてくるし、
考え全てをまとめてしまう事だけが面白さではありません。
みんなで悩みながら、誰かと何かを作る事の楽しい苦しみを味わうのが、
「いちまいばなし」の醍醐味です。
これまでつくった「いちまいばなし」はこちらのサイトで読む事が出来ます。
「いちまいばなし」アーカイブ
(他にもこれまでの「いちまいばなし」の動画、ラジオなど、様々なコンテンツがこのブログやWEB上に点在しています。興味のある方は「いちまいばなし」で検索!)
<「いちまいばなし」企画者>
佐藤悠
1985年三重県生まれ
様々な地域型アートプロジェクトに参加する傍ら、
2011年より即興物語作り「いちまいばなし」を展開。
これまでに関東を中心に15カ所、200話近くの物語を、
1000以上の参加者と作り続けている。
ワークショップ、「いちまいばなし」パフォーマンスのご依頼は以下のアドレスまで
c12o20h22you@yahoo.co.jp