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3月, 2012の投稿を表示しています

「いちまいばなしのうらばなし」その5

「ロードムービー系」 第5回目となる「いちまいばなしのうらばなし」は、物語の展開の仕方に注目し、登場人物が移動する事によって、物語が進んでゆく「ロードムービー系」のお話を紹介したいと思う。まずは以前紹介した「Yes we can!」と、今回初出典の「どこに行くのこの猫たち」を2つ続けてどうぞ。 ーーー いちまいばなし 015 2011.11.19 東京都台東区浅草雷門1丁目 「Yes we can!」 あるところに水晶玉がありました。 それを見ていたのはこけしでした。 玉の中には雷門が見えて、そこではカエルがエスカルゴを食べていました。 それを見たコケシは、ちまたではエスカルゴが流行っていると思い、 ひともうけしようと材料のカタツムリを探しに行きました。 まずは池に行きました。しかし池にはサメがいて、 すでに全てのカタツムリを食べ尽くし、その殻が池の周りに積み上げられていました。 次にコケシはツクシがたくさん生えた野原に行きました。 しかし、カタツムリが全くいなかったので、怒ったコケシはツクシを一本だけ残して焼いてしまいました。 一本のツクシをもって、コケシは川へ行きました。するといかだに乗った少年たちが川を下って来ました。 行き先をたずねると、アメリカへ行くらしいので、コケシもそのいかだに乗って、新たな食材を探す旅に出ました。 航海していると、あるとき、霧の中から人影が見えて来ました。 それは美しい女の人で、手にしたゾウガメと、コケシの持っていたツクシを交換してくれないかと言いました。 ツクシとゾウガメを交換したコケシと少年たちは、お腹が空いていたのでゾウガメを食べてしまいました。 次にまた、霧の中に人影がみえてきました。 それは自由の女神像で、ついにコケシたちはアメリカニューヨークに着いたのでした。 上陸したコケシたちは、大物政治家と会いました。その人は食べた残りのゾウガメのこうらを大金で買ってくれたので、 そのお金でコケシたちは盛大なパーティーを開きました。 おしまい ーーー いちまいばなし 021 2012年2月9日 東京都世田谷区等々力 「どこに行くのこの猫たち」 ある海の中に三毛猫がいました。 猫はウ

「WAKABADAI SKY DRAGON 100mの向こう」 その7

2011年9月23日~10月2日、横浜若葉台団地で「空の芸術祭」という、「空」と「ブータン王国」をテーマにしたアートプロジェクトが開催された。総合プロデューサーは日比野克彦。7人の日本人作家とブータンの作家1人を迎え、17000人が生活する若葉台の中で様々なプロジェクトが行われた。会期中にはブータン王国のティンレー首相も若葉台を訪れ、大きな盛り上がりを見せた。 作家の1人として芸術祭に参加した私は、ブータンの国旗に登場する龍をモチーフに、100mの長さのDRAGONを作り、街を行進する「WAKABADAI SKY DRAGON」というプロジェクトを行った。以下の文章は、約2ヶ月の滞在制作を記すために綴る、不定期連載の活動記録である。 参考動画はブログの右手の動画コーナーにあります。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <その7> その頃は、芸術祭の会期も近づいた頃で、ワークショップを行う状況にも変化が出て来た。今までは拠点を持てずに西中で平日は活動していたが、商店街の空き店舗を借り『 SKY ROOM 』というワークショップ専用のスペースを団地の中心街に確保する事ができた。それによって平日の作業もそこで行えるようになり、買い物帰りのお客さんや、下校途中の小学生等、格段に活動が人目につく様になった。その結果、一度に大量に子供が集まる様になり、最初は統率にとても手を焼いた。平日は早くて 15 時には下校した子たちがやってくる。ワークショップの時間は 18 時頃までなので、正味2、3時間だが、短時間に集中するので、毎日が嵐のようだった。毎日 15 時を目指して、材料の買い出しや寸法出し、または子供では出来ない作業をこなしておくのだが、なかなかはかどらない事もあり、そんな日は下校してくる子供たちの声に恐怖を感じた物だった。 SKY ROOM また、僕の中でワークショップを行う「場」を作るという意識が生まれ出したのも、この「 SKY ROOM 」での活動からだった。ワークショップの「場」を作ると言う事は、そこへ立ち入るとワークショップに関わらざるを得ない場を演

「いちまいばなしのうらばなし」その4

「スクランブルエッグ落ち」 さて、前回は収集のつかない物語に、なんとかまとまりをつける為の「パーティー落ち」という手法を紹介したが、今回はその対極にある様な手法をご紹介しよう。まずはこのお話を読んでほしい。 ーーーーーーーーー いちまいばなし No.018 2012.2.7 東京都世田谷区等々力 「フランスから妖精の国へ」 あるところに妖精のお姫様がいて、フランスから妖精の国へ帰っていました。 フランスでは、妖精はフランス人と一緒にバネ公園のバネでエッフェル塔に飛び乗ったりして遊んでいました。 妖精の国では、お城でお姫様のお父さんとお母さんがたくさんの貴族と共にお姫様の帰りを待っていました。 お姫様が国に帰ってくるとティーパーティーが始まります。お菓子は振りかけられた砂糖でキラキラと輝いています。 キラキラ光る川の水で作られたシャンパンも用意されました。 パーティーでは、ステージで妖精のお笑いやダンスの出し物も行われます。 それが終わるとキラキラのお風呂にみんなで入ります。 そして、お姫様は国中の人、一人一人におやすみなさいを言って寝ようしました。子守唄も聞こえてきます。 でも、よく見ると妖精が一人いないようです。みると、お風呂で溺れている妖精がいます。 お姫様が助けるとその妖精は「ありがとう」とお礼を言いました。 すると今度はキラキラ光る川でお姫様が溺れてしまいました。 川は凍っていたので、お姫様は動けなくなりましたが、次の日に助けてもらえたそうです。 おしまい ーーーーーーーーーー 今回の「いちまいばなし」に参加者したのは、全員小学生の女の子で、そのせいなのか、始まりから妖精が登場してなかなかファンタジー色が強いお話である。その他に出て来るものも「エッフェル塔」、「ティーパーティー」と少々ハイソな印象を受ける。全体の印象としては、バランスのとれたとても読みやすいお話であると思う。確かに「バネ公園」や、「妖精のお笑い」など、「いちまいばなし」ならではの妙な違和感=「サメおにぎり」感も随所に見受けられるが、それを考慮したとしても、ここまでスムーズにお話が進んで行くのも珍しい。最初に紹介した「サメつり(仮)」ほど平凡な流れでなく、「パーティー落ち」を必要とする様

「WAKABADAI SKY DRAGON 100mの向こう」 その6

2011年9月23日~10月2日、横浜若葉台団地で「空の芸術祭」という、「空」と「ブータン王国」をテーマにしたアートプロジェクトが開催された。総合プロデューサーは日比野克彦。7人の日本人作家とブータンの作家1人を迎え、17000人が生活する若葉台の中で様々なプロジェクトが行われた。会期中にはブータン王国のティンレー首相も若葉台を訪れ、大きな盛り上がりを見せた。 作家の1人として芸術祭に参加した私は、ブータンの国旗に登場する龍をモチーフに、100mの長さのDRAGONを作り、街を行進する「WAKABADAI SKY DRAGON」というプロジェクトを行った。以下の文章は、約2ヶ月の滞在制作を記すために綴る、不定期連載の活動記録である。 参考動画はブログの右手の動画コーナーにあります。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <その6> どうにかこうにか、第1回の公開ワークショップを終えた僕の周りには、小学生を中心に10人程度のレギュラーメンバーが集っていた。第2週は、彼等を中心にさらにこのプロジェクトに引き込む為、それぞれが1匹づつドラゴンを作る事を目標として、活動を始めた。サイズは公開ワークショプの物よりもさらに小さく、また、構造も筒状ではなく旗状に変え、より平易に工作できるようにした。各人が平日の5日間をかけて、発泡スチロールで頭部を、ビニールシートを具材にしての胴体の制作を行ってドラゴンのベースを作り、さらに週末の公開ワークショップで、飛び入りの参加者と協力してウロコ張りを行いドラゴンを完成させるというプログラムを計画していた。 自分のドラゴンを作ると言う事で、 常連のメンバーは色めき立ち、熱心に活動に参加した。頭部のデザインはテンプレートを僕が作り、ディティールはそれぞれの子供たちに任せる事にした。最終行程のウロコ張りは、ウロコを切り出す作業や貼付ける作業を各個人が各々で行ってしまうと時間がかかりすぎてしまうため、公開ワークショップで様々な人に作業を手伝って貰う様にした。僕の意図としては、他者に手伝って作業を進める部分を制作過程に入れ込む事で、「他者と共作した」という意識が生まれ、完成したドラゴンを誰かと共有す

アトリエ「きらら」ブログ

先月活動させて頂いた、等々力のアトリエ「きらら」さんのブログに、行った授業の様子がアップされています。 今回は2週間の授業で、即興物語創作「いちまいばなし」作りと、そのお話を元に布で旗を制作する「えほんのはた」作りを行いました。かわいい4つの旗が紹介されていますので、ぜひ見てみて下さい。。。 また、「きらら」のHPではトークの様子も紹介されています。。 ブログはこちらから→  きらら子供のアトリエ ブログ HPはこちら→ きららHP

「いちまいばなしのうらばなし」その3

「パーティー落ち」 前回の「逆接のクロスカウンター」もそうだが、「いちまいばなし」を行っていると、何度か同じ様なストーリーの流れに出くわしたりして、話を作り続けてゆくとある程度の傾向が見えてくる。 今回紹介する「パーティー落ち」は、その中でも特によく見受けられるパターンで、数えてみるとこれまでに作られて来た話の5分の1くらいにこの傾向が伺える。「パーティー落ち」というのはその名の通り、話の終盤にパーティーやそれに類する催し(バーベキューやティーパーティー)が開催されて、話が収束に向かうというという流れの事をさす。まずはすごく自然な流れでの「パーティー落ち」で終わるお話をご紹介しよう。 ーーーーーー いちまいばなし No.006 2011年7月17日 神奈川県横浜市旭区若葉台 「雲の王国へ行くうさぎたち」 青空の中の雲に、クモが巣を作って住んでいました。 そこに羽の生えたウサギの家族がぴょんぴょん飛んでやってきました。 雲の向こうには雲の王国があって、 中には王さまとお姫様、家来たちが住んでいました。 今日は雲の王国の400周年パーティです。 そこに招かれたのがクモとうさぎたちでした。 きっと楽しいパーティだった事でしょう。 おしまい ーーーーーーー うん。何も問題ない。とてもスムーズにパーティーの流れで落ちている。この話が「パーティー」という要素が「いちまいばなし」の中に初登場した話で、まだこの頃はその事に対して何の違和感も持っていなかった。しかし、活動を続けていく中で、だんだん「パーティー」で終わる話が目に付きだし、その言葉の持つ使い勝手の良さ、いきなり話を丸め込んでしまう強引さが浮かび上がってくる。では次の作品を見てみよう。 ーーーーーーー いちまいばなし No.007 2011年7月17日 神奈川県横浜市旭区若葉台 「パイレーツ・オブ・トリビアン」 あるところの空に1羽の鳥がいました。 その下の海には宝の島、サモア島がありました。 宝をねらう海賊達が海を渡っていましたが、 そこに大きなタコがいて海賊達に立ちはだかりました。 その時、突然空にいた鳥が大きな大きなロボット鳥になりました。 ロボット鳥はタコを焼きダコにしようと火を吐