2014年4月1日火曜日

体で「いちまいばなし」

先日、「いちまいばなし」の新たなワークに挑戦してきました。

これまでは物語を作った後に、
布や粘土を使ってその情景を表現するワークを行ってきましたが、
今回は、物語を「体」を使って表現してみるという事をやってみました。

なぜこの試みを始めたかというと、
「いちまいばなし」の物語作りのワークは、毎回どこでやっても盛り上がるのですが、
物語が出来上がってから、
それを布や粘土等の「物」に置き換えて表現するワークになると、
その盛り上がりとは少し違うベクトルのワークになっている気がしていて、
繰り返してゆくうちに、
あの物語作りのテンションそのままのワークが何かできるんじゃないか?
とどこかで考える様になりました。
そんな中で、身体を使って物語を時間的、空間的に表現するという、
「身体表現」というアイデアがでてきて、
さて、この実験企画をどこで開催しようか悩んでいたところ、
1月にワークショップでアトリエティエラアスールさんが思い当たりました。
今年の1月に前述の布を使ったワークを行ったアトリエなのですが、
その時の雰囲気がとても良く、
この環境とメンバーなら新しい事が出来るかもと連絡を取り、開催が実現しました。

まだ「いちまいばなし」あんまり知らないよ。。という方は
以下のページを見てもらうと良いかもです。

集まったのは幼稚園から5年生までの10名。
今回のワークは、まずは体をほぐす所から入りました。
準備体操をして、声を出し、発声練習をして行きます。

次にみんなで輪になって、「ボールリレー」のワーク。
投げ手が受け手の名前を呼び、返事を聞いてからボールを投げるという、
お互いの名前を覚えたり、相手の反応を良く見る事が目的の簡単なゲームなのですが、
意外とこれに苦戦しました。
みんな照れてしまって、なかなか名前を呼んだり返事する事ができません。
特に男子と女子の間にある壁は結構厚い事が判明しました。
本当はボールを2つ3つと増やしていく予定でしたが、
照れ照れのみんなの様子に断念。
次のワークに移ります。

続いて「からだちょうこく」のワーク。
2人1組になって、彫刻家と彫刻役に別れ、
彫刻家は、彫刻役の体を動かしながら、ポーズをつけ人間彫刻を作ってゆきます。
彫刻役の人は目をつぶって、彫刻家の指示に従います。
今回は短い音楽を聴き、そのイメージのポーズを作ってみる事にしました。
あえて男女ペアを作ったので、
やはり互いの体に触れるのに少々戸惑うチームもありましたが、
ポーズ作りや、つくったポーズを鑑賞したりする時は終始笑い声が聞こえ、
雰囲気はだんだんほぐれつつありました。
このワークは、学部のときに大学でやったワークショップにあったのを思い出し、
取り入れてみたのですが、やると相手の体に触りやすくなるので、
全体で身体表現をして行く後半のワークで効果を発揮する事が分りました。
(ただ、やってみて「彫刻」が小学生以下の子達にとってあまり身近で無い事も分りました。今後名称は検討しようと思います。)

そしてここで、「いちまいばなし」。
今回は、10人中9人が経験者。
全体を3周してこんな物語を作りました。



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「こなごなざんまい」

滑り台とブランコのある公園に風車(かざぐるま)がありました。
風車は強い風で、棒が折れそうなくらい回っていました。
そこへサッカー選手がやって来て、ボールを蹴ると風車に当たって、
風車は不思議な遺跡に飛んでゆき、そこにあった穴に落ちました。
落ちた先には川があって、
そこには石を拾って川に流して遊んでいる子供達がいました。
風車が川に落ちると、濡れて破れて流れて行ってしまい、
元の公園に戻って、サッカー選手の顔面に当たりました。
サッカー選手は病院に行き、血だらけになって死んでしまいました。
風車は捨てられて、異次元から来た鳥に拾われましたが、
鳥は木にぶつかって砕け散ってしまいました。
すると台風に巻き込まれ、サッカー選手が蘇り、
風車も巻き戻ってまたサッカー選手の顔に当たり、
全てが粉々になってしまいました。

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いつも通りメチャクチャな物語ですが、
風車、公園、サッカー選手、台風等、
大方の要素は比較的イメージしやすいもので構成されていて、
その中に、異次元、粉々、という抽象的なワードもあり、
予期せず、最初の身体表現ワークとしてはいい塩梅の話になったと思います。
いきなり荒唐無稽の極みの様な話が来たらどうしようと戦々恐々していた
僕は内心ホッとしていました。

さて、水分補給休憩を入れて
ここからまた身体のワークに戻ります。
今度は僕のマネをしながらいろんな物を体を使って表してみるワーク。
ウサギ、大きなウサギ、小さなウサギ、
おじいさんウサギ、赤ちゃんウサギ、
火、弱火、強火、キャンプファイヤー、
水、雨、洪水、水と火など、
具体的な物から、だんだん抽象的な物、
さらに2つの物の関係性の表現へ展開してゆき、
全ての物が身ひとつで表現できる場を作ってゆきます。

ここまで来ると羞恥心も薄まって、みんな何でも体で表す事に抵抗が無くなり、
マネではなく勝手にいろんな表現が出来る様になってきました。

そこで次に「海」をやってみます。
まずはみんなでゆらゆらと海面の波をやってみます。



そのうち男の子達が違う動きをし始めました。
聞いてみると、「泳いでいる人!」との事。



「他に何がいる?」と聞いてみると、「船!」「生き物!」
とそれぞれが一斉にいろんな海の要素を表現し始めたので、
どんどん聞いて行きながら、みんなでそれぞれのマネをして行きます。

手を振って「ワカメ」



体を丸めて「岩」



うねうね動いて「親子の生き物」


最後は「ダイオウグソクムシ」。



テーマを変えて同じ様に「空」や「宇宙」もやりながら、
どんな物を提示されても、みんなすぐに体で表せるようになって準備完了。
僕が聞いて、参加者が体でそれに応える
「いちまいばなし」的な雰囲気が出来上がりました。
ここでいよいよ先ほどつくった「こなごなざんまい」の情景を
体を使って表現する事にチャレンジします。

<シーン1>
「滑り台とブランコのある公園に風車(かざぐるま)がありました。」

5人づつのチームに分け、
まずは『「風車(かざぐるま)」をどうしよう?』
と聞くと、一人が手をぐるぐる回して「風車〜」とやり始めました。



「いいね〜もっと大きなのできないかな?」と聞くと、
「棒がいる」「誰かが真ん中に行けばいいんじゃない?」「僕がやる!」
と風車の構造からアプローチが始まりました。
棒の候補者が沢山出て来たので、
じゃんけんをした勝者がまずみんなの真ん中に陣取りました。
さて、「羽どうしよう」と聞くと、一人が両手を広げて軸棒に添えました。
場が「それだ!」となってみんな後に続きます。
もうここでイメージは共有出来た様なので、
「風が吹いて回るぞ〜」と言うと、4枚の羽が回り出し、
あっという間に「風車」が完成しました。




この間約1分。
不安だったけど「今日いけるぞ!」という自信が僕にも出てきました。

チームを交代して公園の風景のブランコと滑り台を作ってみます。
「どうしようか?」と問うと、
5年生のお姉さんが年長さんを抱えて左右にぶらぶら振って、
ブランコがすぐにできました。



問題は滑り台。体を前屈させ山型にする子が出てきましたが、やっぱりちょっと小さい。
「もう少し大きくしたいね。」と言うと、
「こうやればいいんじゃない?」「しゃがんで。」「人が足りない。」
と体の彫刻よろしく、みんなのポーズを決めながら全体の形を整える子が現れました。




柱は?棒は?滑る所は?と口々に調整しながら滑り台が完成。
風車チームとも併せてやってみて、最初のシーンが完成しました。



そんなこんなで、それぞれのシーンの表現をみんなで考えながら
お昼を挟んで、最後のシーンまで組み上げて行きました。

<シーン2>
そこへサッカー選手がやって来て、ボールを蹴ると風車に当たって、
風車は不思議な遺跡に飛んでゆき、そこにあった穴に落ちました。

サッカー選手(左)がボール(右)をシュート!



ボールが風車に当たって



みんな穴の中へ…
穴は見えにくいですが、3人が開脚して作っています。



<シーン3>
落ちた先には川があって、
そこには石を拾って川に流して遊んでいる子供達がいました。
風車が川に落ちると、濡れて破れて流れて行ってしまい、

川は寝転んでうねうねしながら流れを表します。



そこに石を流して遊んでいる子供達



石はどこへともなく流れてゆきます。




<シーン4>
元の公園に戻って、サッカー選手の顔面に当たりました。
サッカー選手は病院に行き、血だらけになって死んでしまいました。

「アクシデント」や「死」という不安定なシークエンスは、
みんなが一番盛り上がって乗ってくる所。
想像が他のシーンより膨らんで、元の物語に無いシーンがたくさん生まれました。

3人掛かりの救急車に乗せられて病院へ向かうサッカー選手。
実は見えない舞台袖にピーポーピーポーと言うSE役もいます。



病院では懸命な処置が行われています。
茶色の服の子は点滴役、水玉の服の子は心臓マッサージ、
周りの子達は看護師となって声をかけます。



しかし、そのかいなくサッカー選手はご臨終。
「○時○分 ご臨終です」とお医者さんが宣言し、全員で黙祷。


<シーン5>
風車は捨てられて、異次元から来た鳥に拾われましたが、
鳥は木にぶつかって砕け散ってしまいました。

一方そのころ、異次元から鳥がやってきます。
異次元は悩んだ結果、
最終的にみんなで並んで片足立ちをしてウネウネするというポーズになりました。


そんな中から3人掛かりの大きな鳥が出てきます。


なぜ鳥が木にぶつかったのか?という理由として、
「風車を拾った鳥は嬉しくて、上を見て飛んでいたので、木に気付かなかった」
という解釈が出てきました。

結構大きな木です。


上を向いて飛ぶ鳥


ぶつかって〜


こなごな〜


偶然ですが、収束と拡散が連なるダイナミックなシーンができました。

<シーン6>
すると台風に巻き込まれ、サッカー選手が蘇り、


台風は手を繋いでぐるぐる回ります。
最初は1重でしたが、2重にするアイデアが出て来てやってみると
よりかっこ良くなりました。



みんなで回ると、どんどん楽しくなってテンションもマックス。
ここがクライマックスの盛り上がりになりました。



そんな中サッカー選手がよみがえります。
よみがえった彼に向けて周りの人は手をキラキラ〜
かなり目立ってしまうので、少々照れながらの復活です。



<シーン7>
風車も巻き戻ってまたサッカー選手の顔に当たり、
全てが粉々になってしまいました。

さあそしてついにラストシーン。
みんなで大きな風車になって、サッカー選手に激突!


そして最後はやっぱりこなごな〜



という訳でなんとか、ひととおりの流れが出来たので、
最後は保護者の方に早めに来てもらって、一連の表現を披露しました。
お父さん、お母さんが見てるだけあって、
緊張したり照れてしまったりする事もりましたが、無事ワーク完遂となりました。



やってみて、単純にすごく楽しかったというのが僕の実感で、
「いちまいばなし」と同じベクトルのワークを行うという
当初の目標は達成できたかなと思います。
僕が荒唐無稽なイメージを提示すると、
それをどうやって表現するのかというレスポンスが返ってくる。
どんな物が出てくるのか、その瞬間 瞬間に、
こちらもワクワクしてしまう感覚がすごく「いちまいばなし」的で面白かったです。

「いちまいばなし」物語作りの後に行うワークの目的は、
荒唐無稽な物語を、別のメディアに置き換える事で、
そのめちゃくちゃを整理して、
その訳の分からない世界をどう受容するかという体制を整える事にあります。
今回も表現をして行く中で、物語のディテールや、解釈が生まれたりと、
身体をメディアに、そういった「訳の分からないもの」
を理解するアプローチができたかなと思います。

まだ、発展途上のプログラムではありますが、今後まだまだ面白くなりそうです。
次はどこでやろうかな?

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