2012年2月16日木曜日

「WAKABADAI SKY DRAGON 100mの向こう」 その2





2011年9月23日~10月2日、横浜若葉台団地で「空の芸術祭」という、「空」と「ブータン王国」をテーマにしたアートプロジェクトが開催された。総合プロデューサーは日比野克彦。7人の日本人作家とブータンの作家1人を迎え、17000人が生活する若葉台の中で様々なプロジェクトが行われた。会期中にはブータン王国のティンレー首相も若葉台を訪れ、大きな盛り上がりを見せた。
作家の1人として芸術祭に参加した私は、ブータンの国旗に登場する龍をモチーフに、100mの長さのDRAGONを作り、街を行進する「WAKABADAI SKY DRAGON」というプロジェクトを行った。以下の文章は、約2ヶ月の滞在制作を記すために綴る、不定期連載の活動記録である。


空の芸術祭HP: http://www.sky-wakabadai.com/index.html
参考動画はブログの右手の動画コーナーにあります。

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<前回までのあらすじ>
空の芸術祭の封切りイベントとして、初めてのワークショップを行う事となった私。
だが、手応えの無いまま1ヶ月が過ぎる事となった…



WAKABADAI SKY DRAGON 第一弾 フライヤー

<その2>

1ヶ月活動して僕の胸に残ったものは、場当たり的なものになってしまったなという感触だった。もちろんワークショップの中で何も生まれなかった訳ではない。ワークショップを開催する中で集まって来てくれた実行委員の方や毎週参加してくれるようになった小学生など、活動に対する目に見える反応は確かにあった。しかし残念ながら、そのときの僕はまだそのような見えて来た糸口をたぐり寄せる術を持っていなかった。協力してくれそうな人はいる。ただ、その人に今何を協力してもらうべきなのか、何を頼むべきなのかが分からなかった。初の自分開催のワークショップだった事もあり、全ての事を自分が行って責任を果たさなければならないという気持ちがどこかにあって、誰にも何も頼めない状況に陥ってしまっていた。1週間に1度しか来れず、その日に何らかの結果を出さなければならないという焦りもあった様に思う。だが、関係性を築く事が出来れば、残りの6日で現場の協力者にやってもらえる事はいくらでもあっただろう。また、とにかくワークショップの現場を回す事だけにとらわれていたが、よくよく考えれば、たかだか隔週のワークショップで制作できるもののクオリティなど知れていて、その出来不出来に拘泥するよりも、その活動を糸口に今後に繋がる関係を築いてゆく事を見据え、現場を回す事は他の人に任せて、自分が活動をさらに広げ、つなげてゆく為に動けたかもしれないと今になって思う。もちろんこれは終わってから感じられる事で、この後開催されるWAKABADAI SKY DRAGONのワークショップでもこの状態はしばらく続く事となる。

不完全燃焼な感覚のまま、若葉台を後にした僕はその後すぐ新潟で行っているプロジェクトに入り、次に若葉台を訪れたのは、8月23日、気付けば本番までちょうど一ヶ月前の頃だった。
その頃には、レジデンス施設も整い、他の作家も若葉台でプロジェクトを始動させ始めていた。その日から滞在を始め、初期の制作場所となった若葉台旧日中学校(西中)の工作室に作業場を構えたが、その状況に僕は正直かなりの焦りを感じていた。計画としては、7月に行ったワークショップの延長を行うのではなく、新たなプロジェクトを立ち上げたいと言う事が念頭にあった。
この時ぼんやりと設定していたプロジェクトの目的を今改めて書き表すと、「出来るだけ多くの人との共同制作を行う」ということ「大きな場の転換を起こす」という2点であった。アートプロジェクトという形で私が地域に介入し、何かしらの作用を起こす事で、土地とそこに住む人々のが持ちうるポテンシャルを活動の中で再発見し、出来るだけ多くの人と関係性を作り、土地と人の潜在能力を引き出しながら、誰も見た事の無い光景を作り上げるというものが狙いだった。


ブータン王国旗

そこで私が今回のアートプロジェクトを行う上でベースにしたのは、「祭りをつくる」というイメージだった。これは、先に出た新潟で行っているプロジェクトにも共通するテーマで、何かを作り、それを発表するという流れの中で、人が集い、何か大きな場の転換を起こし、最終的な発表の場では、制作された物だけではなく、築かれた人の関係性が大きな盛り上がりを作ってゆく状況を構築してゆきたいと考えた。
では、この若葉台で何を作ってゆくのか。祭りでいえば神輿のような、活動と発表の依り代となるような物を何に設定するのかを考えていたところ、長崎くんち等の祭りで披露される、「龍踊り」がヒントとなった。神輿や山車型の物では、参加者が限られてしまうが、長い龍の体を大勢の人で支えながら舞うこの形態ならば、必要な分だけ胴体を延長して、相当数の人手で担ぐ事が出来る。また逆に、ものすごく長い胴体を制作する事を最初に設定してしまえば、必然的に多くの人を呼ばないと発表は成立しなくなり、活動の目標を設定しやすくなるだろうと考えた。幸い、空の芸術祭のテーマのブータン王国の国旗にも龍がいると言う事で、そのドゥルックという雷龍をモチーフに、大きな竜型の御神輿をつくり、期間最終日に会場を行進する事を目標に、WAKABADAI SKY DRAGON というプロジェクトを立ち上げた。

つづく

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自分で読んでいて感じますが、このレポート自体、出会った人との関係性とかではなく、自分から見たプロジェクトの進行の善し悪しを中心に綴っているので、なかなか最初の方はネガティブな文章が続きます。。プロジェクトが本格的に動き出すようになるまで、そんな雰囲気がずっと続きますが、もう少し我慢を…


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