2012年2月29日水曜日

「WAKABADAI SKY DRAGON 100mの向こう」 その5



2011年9月23日~10月2日、横浜若葉台団地で「空の芸術祭」という、「空」と「ブータン王国」をテーマにしたアートプロジェクトが開催された。総合プロデューサーは日比野克彦。7人の日本人作家とブータンの作家1人を迎え、17000人が生活する若葉台の中で様々なプロジェクトが行われた。会期中にはブータン王国のティンレー首相も若葉台を訪れ、大きな盛り上がりを見せた。
作家の1人として芸術祭に参加した私は、ブータンの国旗に登場する龍をモチーフに、100mの長さのDRAGONを作り、街を行進する「WAKABADAI SKY DRAGON」というプロジェクトを行った。以下の文章は、約2ヶ月の滞在制作を記すために綴る、不定期連載の活動記録である。

参考動画はブログの右手の動画コーナーにあります。

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<その5>
ワークショップの中で子供たちが興味を持ったのは、ホットボンドという接着剤でウロコをドラゴンに貼付ける作業だった。このホットボンド(別名ホットメルト、グルーガンとも)と言う物は、熱で溶け、冷えると固まる性質を持った軽工作用の接着剤である。道具自体は、銃の様な器具にスティック状のボンドを装填しトリガーを引くと、電気の力でボンドが溶け出すという単純な物だが、溶け出すボンドは高温でやけどをしやすく、トリガーを自在に引くには以外と力が必要だったり、しかもボンドの硬化具合は器具の温まり具合や外気温によって変化するという、少々子供には扱いにくそうな代物だった。



なので、最初は彼等に扱わせる事にためらいもあったが、大人がいっしょに付き添って危険因子を軽減する形で、一度ホットボンドを託してみると、多くの子供たちがその作業に魅了され、普段の作業より遥かに長い時間作業は継続された。何より、他の作業と異なるのは、彼等自身が作業を楽しんでいるという事だった。こなさなくてはならないタスクではなく、仕事の中で自分が道具を攻略したり、状況をコントロールしてゆくような、プログレスがある事を単純に楽しんでいた。毎日が成長の中である彼等は、そのようなプログレスがある作業に特に惹かれていた。その後の日々のワークショップでも、熱線で発泡スチロールを焼き切るスチロールカッターや、電動ミシンでの縫い物の作業の中で、彼等は同じ様な反応を見せた。



未知が既知になること、出来なかった作業が出来るようになる事が、彼等にとって一番価値があることのようだった。特に「あぶないから」「子供にはまだ早いから」といえばいう程、彼等はやる気になり、熱心に仕事に打ち込んだ。

つづく

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